No.09
遠野市上郷町出身

新田真里子さん

2018年10月仙台から遠野にUターンし、ヨガのインストラクターとして2022年4月に起業。オンラインレッスンのほか親子ヨガや古民家ヨガなど、ヨガ教室も定期的に開催。
Mariko YogaHPはこちらからご覧いただけます。

離れて気づいたふるさと「遠野」の良さ

「もともと遠野にあるものぜんぶが好きなんだって気づいたんです」
そう語るのは、地元である遠野にUターンし、昨年4月にヨガインストラクターとして起業した新田真里子さん。
真里子さんの遠野での生活は、遠野にしかないもの、遠野だからこそ感じるもので溢れ、その暮らしの一つひとつに、喜びや感謝の思いが伝わってくる。

情報が渦巻く世の中で、心も身体もリセットできる。
彼女にとって、それが「ヨガ」であり「瞑想」であり、「遠野」なのだ。
Uターンしてから今感じることまで、薪ストーブの暖かさがじんわりと広がるご自宅の古民家で伺った。

遠野に移住してきたきっかけはなんですか?

もともと仙台のホットヨガスタジオでヨガ講師として働いていたときに、大好きな漫画家さんの「リトル・フォレスト」という、田舎暮らしをする女の子を描いた作品と出会ったことがきっかけですね。
仙台に住んでいたときから、いずれは実家に帰りたいとは思っていたんですが、野菜作りや土いじりをするのは、自分の祖父母くらいの年齢になってからなんだろうなぁと漠然と考えていました。ところが、この作品の中では、自分と同じくらいの年齢の女の子が、農業に携わり豊かに暮らしている姿が描かれていて。このときはじめて自分が本当に憧れている暮らしに気づきました。同時に、今から農業やってもいいじゃん!と、ふと思い立って(笑)若いうちから農業を始めることで、祖父母から学べることがたくさんあって、自分のできることが増えるんじゃないかと思い、遠野に帰ってきました。

偶然にも2021年10月に遠野ふるさと村で開催された特別企画展「Iwate, the Last Frontier − 辺境に差す はじまりの光 − 」に、「リトル・フォレスト」の作者である五十嵐大介さんがパネリストとして来ていて、不思議な縁に感動しました。このイベントへの参加を通して、富川屋のメンバーや地域おこし協力隊員と仲良くなり、そうした周りの皆さんからも刺激を受け、起業することを決意しました。

ヨガのポーズをとる真里子さん

遠野のどんなところが気に入っていますか?

もともと高校生まで遠野に住んでいたときには、遠野を早く出たかったんです。でも一度市外に住んでみたら、古民家暮らしや野菜を栽培できる環境など、遠野にあったもの全部が好きだったことに気づかされました。やっぱり遠野には都会にないものがたくさんあって、自然に近いことが魅力なんだと思っています。

それから、遠野物語や妖怪にまつわる話など、その面白さをじわじわと感じています。
高校時代も遠野ファンタジーなどで遠野物語には関わっていましたが、当時は遠野物語が面白いとか、田舎暮らしがかっこいいとか、そんな概念は全くなくて。いまこうして富川さんのイベントやいろんな方との交流を通じてもう一度読んでみると、その価値を理解できますね。

実家のお米づくりにも携わっている

遠野にあるものぜんぶが好きだった

  •   家の杏の木から収穫した杏 ジャムにするのだそう
  •       畳のうえは心がやすらぐという
  •     薪ストーブ前でくつろぐ飼い猫クロ

地域のかたとの関わりはどうですか?

起業する前に勤めていた会社で、運動教室の講師として各地区センターで高齢の方々に運動指導を行っていました。今でも地区センターでチェアヨガをしているので、同じ方々と交流できるのはありがたいことですね。

それから5歳のころから高校生まで習っていたバレエも、Uターンしてからまた再開しています。バレエをやっていて良かったと感じるのは、人とのつながりですね。上郷じゃない場所で、小さかった頃から自分を知っていてくれる人がいるというのは、とても支えになりましたし、帰れるコミュニティがあるというのは、とても心強いです。また、自分の習い事としてだけでなく、小さい子どもたちの成長を見るのも楽しみのひとつですね。

地区センターでは定期的なヨガ教室を開いている
  •      男性参加者も多かった古民家ヨガ
  •     5歳から習っているバレエの発表会

遠野に移住してから、困ったことや感じたことはありますか?

都会では短時間で済むことが、田舎だとどうしても移動に時間を取られてしまうことですね。
例えば、コインランドリーに行くだけで往復30分かかるので、すべてを終わらせるまでに1時間かかってしまうのは、不便だなあと感じますね。
それから、会社員の頃特に感じていたのですが、夕方仕事が終わってから同世代の人々が集える場所が都会と違い遠野には少ないので、意外と孤独な若者が多いと感じます。田舎にも、誰もが気軽に集える場所があると良いなあと思います。

これからやってみたいことは何ですか?

来年度は、今年度始めたオンラインヨガと古民家ヨガを継続して行っていきたいですし、本格的に畑から無肥料無農薬の野菜を育て、販売していくこともはじめたいですね。
今まで自分が取り組んできたことをひとつにまとめて、提供していきたいと考えていて、今計画しているのが、実家で育てた野菜を提供しながら、ヨガと瞑想で身体を整える「野菜を食べながら心と体を見つめ直す習慣を作る」といった、長期的なプログラムです。
また、移住者の友人と地元の友人とが交流できるようなイベントを企画できたら良いなあと考えています。

瞑想は脳の疲れを癒すと言われている
  •  遠野ふるさと村の曲がり家で行われる古民家ヨガ
  •       新緑が美しい森での瞑想

遠野へ移住を考えている方へ一言お願いします。

高校生の頃までは遠野のよさがわからず、帰ってきてから初めて遠野がとても楽しく、おもしろい場所であることに気づくことができました。都会に比べて寂しさを感じることもありますが、誰かと一緒にイベントをさせてもらったり、起業していろんな方と触れ合ったりする中で、遠野の人々のあたたかさを感じ、とても良い場所だなと思います。
特に起業してからは、周りの人たちに「いいんだ、まずやってみろ」と応援してもらうことが多く、そんな遠野ならではのゆるい雰囲気が励みになりますし、心地良いですね。
遠野は、助けてくれる人や温かく見守ってくれる人がたくさんいるので、新しいことにチャレンジしたい方は、遠野という地域をその選択肢のひとつとして考えていただけたら嬉しいです。

   先輩移住者として語る真里子さん

担当者Bのつぶやき

ヨガに、畑に、古民家暮らしにと、自分の理想の暮らしに挑戦している真里子さんの話す姿を見ているととてもカッコよく見えました。取材時にはストレッチの体験もさせてもらい、ヨガや瞑想の講座も受けてみようと思いました。真里子さんの今後の活躍がとても楽しみです。