林業をもっと身近に
「いずれは遠野の山を買い、そこに自分の手で山小屋を立てて工房を開いたり、遠野の木を使った製品を作ったりしたいですね。」
目を輝かせてそう話すのは、2022年4月から株式会社小友木材店遠野工場に勤務する早川さん。林業経験こそまだ浅いが、林業への情熱は誰にも負けていない。
まだはじまったばかりの早川さんの林業へのチャレンジを伺った。
遠野に移住してきたきっかけはなんですか?
両親の転勤の都合で東北を転々としていましたが、大学を卒業してからは仙台にある家具の会社に就職し、その後は転勤のため東京で働いていました。
2020年に実家のある岩手に帰りたいと思い転職先をさがしていたところ、たまたま東京の電車内で「森の仕事ガイダンス」という広告が目にとまり、その中にあった企業が「小友木材店」でした。
その後面接等を経て小友木材店から内定をもらい、会社から岩手には「林業アカデミー」という県の支援を受けながら一年間無償で林業を勉強できる制度があると紹介され、1年間実家から研修先の矢巾まで通って林業の勉強をしました。
林業アカデミーでは同年代の仲間と様々な研修を受講し、林業に必要な資格を取得することができたので、とてもありがたい支援制度でしたね。
アカデミーの1年間の研修を終え、2022年4月に正式に小友木材店に入社し、遠野へ移住しました。
遠野のどんなところが気に入っていますか?
一番は自然が豊かなところですね。岩手に来る前は2年間東京に住んでいたので、やはりゴミゴミした場所ではない遠野がすごく良いところだと実感しました。
特に高清水展望台と早池峰山がお気に入りの場所です。趣味で登山もするので、今後遠野三山を制覇したいですね。
それから意外に良かったのが、市立博物館です(笑)。最初はあまり期待していなかったのですが、実際に訪れてみると、季節の企画展や展示に工夫があってとても見応えのある施設でした!
地域のかたとの関わりはどうですか?
今年から小友の長野獅子踊りの郷土芸能団体に所属し活動していて、地域の皆さんからとても良くしていただいています。1年目ながら今年はじめて遠野まつりにも演者として参加させていただき、とても楽しかったですね!今後もずっと長野獅子踊りで活動をしていきたいなあと思っています。
遠野に移住してから、困ったことや感じたことはありますか?
強いて言えば、ファーストフードがすぐに食べられなくなったことくらいですかね(笑)。以前はよく食べていたファーストフード店が近所にないので、わざわざ盛岡や北上に出かけることもあります。
逆に自炊をするようになり、そこに楽しさを見出しはじめているので、ある意味良かったのかもしれません。遠野は安くて質の良い食材ばかりなので、自炊がマイブームで、最近はドライカレーをよく作っています。
それから驚いたことは、冬季の路面状況ですね。雪はさほど気にならないのですが、路面の凍結具合は他の地域に比べてもダントツで怖いと感じました(笑)。
これからやってみたいことは何ですか?
林業をもっと一般化させたいというコンセプトのもと、会社が取り組む「山猫プロジェクト」に関わっていきたいです。
林業は出荷される木材より、間伐等で山の中に廃棄される木が圧倒的に多いという実情を踏まえ、この木をなんとか利活用させたいという思いからはじまったのが「山猫プロジェクト」なんです。
山猫は丸太一本程度の木材を積んで1人でも運べる林業機械で、高齢者や女性の方でも使いこなせるものです。この山猫を普及させて、遠野に住んでいる人たちや山を所有する人たちが山猫を使って、休日に畑仕事をする感覚で山仕事を体験したり、副業・副収入などに活用したりしながら自分たちで山を管理できるようにする取り組みを進めています。
自分も今後このプロジェクトに積極的に関わっていきたいと考えていますし、いずれは遠野の山を買って、この機械を使いながら生活してみたいですね。
最終的には自分の手で山小屋を立てて、工房を開き、遠野の木を使った製品を作っていけたらいいなと考えています。
遠野へ移住を考えている方へ一言お願いします。
職場の先輩から遠野市の支援制度をいろいろ教えていただき、僕は遠野市から家賃補助と奨学金返還補助の支援を受けています。この制度を活用できたおかげでとても安心して暮らせていて、ありがたいなあと思いますね。
遠野には活用できる制度がたくさんあり、自然豊かで暮らしやすい環境が整っているので、遠野にきたら色んな面で良いことがあるということを知ったうえで、若い世代の人々にぜひ遠野に移住してきてほしいなと思います。
担当者Bのつぶやき
仕事でもプライベートでも、遠野の自然に囲まれて暮らしている早川さんの表情はとても生き生きしていました。
やってみたいことに挑戦していこうとする姿にこちらまでワクワクしました。
遠野でこれからどんな日々が待っているか楽しみですね。