No.05
宮城県石巻市出身

尾形 美紀さん

2021年6月、こども本の森遠野でスタッフとして働き始める。

自然のスケール感がすごい

2017年大学卒業後、就職を機に遠野へ移住。遠野の自然の豊かさに魅せられ、「寒いことすら感動するんです」と笑いながら話す美紀さん。彼女の自然への尊敬はどこからくるのか、仕事帰りの美紀さんをお呼びしお話を伺った。

遠野に移住してきたきっかけはなんですか?

大学時代に母の出身地である遠野の祖父が亡くなり、祖母が1人暮らしになったことをきっかけに、遠野に母と移住しました。当初母だけが遠野に移住する予定でしたが、私も就活で宮城に残るか、遠野で暮らすかと進路に悩む中、岩手県の就活セミナーで紹介された「遠野地方森林組合」とご縁あったことから、私も母と一緒に移住することになりました。

祖母とわら細工作業場にて。

遠野のどんなところが気に入っていますか?

遠野の自然が大好きです。都会に比べ不便さはもちろんありますが、それを超える豊かさが「自然のスケール感」ですね。特に高清水展望台から見える雲海や星空を見ると疲れも吹き飛びます。はじめて雲海を訪れたのは、祖母がつぶやいた「こんな日は雲海が見れるんだよな」という一言がきっかけでした。向かう途中木々の合間から見える景色ですら感動し、はじめて目にした雲海の景色は今でも忘れられません。
それから、遠野は夏でも星空がよく見えるので、庭から見える星空でもすごく綺麗なんですよ。

雲海が広がる高清水展望台。

地域のかたとの関わりはどうですか?

最初は都会にはない地域の人と人との関わりに戸惑うこともありましたが、地域住民が密接だからこそ、祖母が1人暮らしになったときも、周りの人たちに助けられたというのもあり、今では感謝しています。わら細工でも、祖母にはお弟子さんがいて、私よりずいぶん前からわら細工づくりを行っているので、しめ飾りの最盛期の時には毎日一緒に作業をし、頼もしい存在です。しめ縄やしめ飾りは伝承園やお店以外にも、地域の人からも毎年依頼されていてありがたいですね。

猫用のえじこ。

遠野に移住してから、困ったことや感じたことはありますか?

本がすごく好きなので、困ったことといえば、本が発売日に買えないことくらいですね。むしろ遠野の寒さに感動しました。祖母から「遠野はしばれるぞ」と聞いていましたが、遠野に住んでみて、「これがしばれるってことか!」と感動しました。あと、どこを歩いていても知り合いに会うというのも遠野ならではですね(笑)

大好きな本がきっかけで、働くこととなった「こども本の森遠野」。

これからやってみたいことは何ですか?

わら細工用の藁を自分で一から作りたいので、農作業に関わろうと思っています。今は知り合いのもち米の田んぼから藁をもらっているので、今後は自分で藁づくりができたら良いですね。それから、すでにやっていることなんですが「味噌づくり」も続けたいですね。遠野産の豆を煮るところから作っています。味噌も漬物も祖母から受け継いでいるので、その味を自分だけのレシピ本のようなものにして継承していきたいですね。

もち米の藁がわら細工の主な材料。

遠野へ移住を考えている方へ一言お願いします。

ここまで人とのつながりが深い地域はなかなかないので、はじめは驚くかもしれませんが、困ったときには周りの人が助けてくれます。少しずつ環境に慣れていってもらえたらと思います。

猫用えじこに入る飼い猫の虎徹。
寒い地域だからこそ見られる「雪の華」

担当者Kのつぶやき

遠野の自然が大好きと満面の笑みで語る美紀さん。縁のある土地だからこその苦労もありますが、日々の暮らしを丁寧に、そして小さな幸せをたくさんみつけて暮らす姿が印象的でした。